今必要とされる思考法!『ビジネスのためのデザイン思考』

ビジネスのためのデザイン思考_表紙 感想・あらすじ・解説

ビジネスのためのデザイン思考_黒板1

今回紹介させていただくのは、「ビジネスのためのデザイン思考」です。ビジネス思考という言葉が使われるようになって久しくなりますが、世の中に浸透しているかというと、少し疑問があります。ただ、デザイン思考という言葉を使わなくても、実は知らないうちにそういった思考の元、様々なプロジェクトが進んでいるとは増えたように思います。

私自身も、そこそこ長くサラリーマンをやって、会社の様々な業務に携わる機会が増えていくなか、既存のルールや仕組みを見直さなければなえらないことが多くなった気がします。そんな中デザイン思考という考え方はとても有効な気がします。

さて、本書の解説ですが、私にとって正直非常に難しい本でした。ただ、たくさんの図によって説明がされており、私でも理解できる部分もあり、今後の仕事に生かせるのではないかと思われる部分もありましたので今回は、私が気になった図を紹介することで、本書の解説をさせていただければと思います。そして、その図に関してもっと詳しく知りたいと思われた方は、是非本書を購入いただき深堀りしていただければと思います。

図1(P46)

ビジネスのためのデザイン思考_図1

まずは、P46にある「階層的・分析的世界観」と関係的・直観的世界観」です。これは、本書の表紙にもある図です。21世紀とそれ以前の人間の関係性を表した図です。左図はヒエラルキーやツリー構造で考えられた物質的(モノ)あるいは機械的世界観によって企業組織も同じく、分業と階層によって大規模化し、人間はその部分になっていたことを表しています。一方右図は、インターネットに代表されるように現象(コト)の連載で、相互の関係性が重視される時代になり、直観的に全体を把握していく綜合力(まとめあげる力)が求められる時代になったと著者は言います。まさにデザイン思考が求められる時代ということです。

図2(P52)

ビジネスのためのデザイン思考_図2

デザインが価値を生む2つの視点を表した図です。モノをデザインするとは、付加価値をつけることです。原材料があってそれを創り変えることによってデザインが価値を生みます。ただ、最近は資産を基に顧客との相互作用的なデザイン・プロセスを通じて価値を生み出すという考え方に転換しつつあります。これは、製品を作って売ったらおしまいではなく、その前後のライフサイクルまで含め顧客価値を最大化するプロセス全体をデザインするという考え方です。

図3(P57)

ビジネスのためのデザイン思考_図3

これは、図1、図2を具体的に表した図ともいえると思います。モノからコトへ時代が移り変わっているとても分かり易い事象ではないでしょうか。カメラや写真を例にするとハード中心の市場が主流だった時代、フィルムカメラやフィルムやその現像のための材料といったモノを自分で準備していました。それに伴い、DEPサービスが始まります。しかし、そのフィルムカメラやフィルムからデジタルカメラやメモリへのハードが変わるとDEPサービスはなくなり、現像するためのソフトやプリンターが売れ出します。ソフト中心の市場へと移行していくわけです。すると、ウェブアルバムといったソフトが開発され、思い出や経験といったコトといった知識(コンテンツ)中心の市場へと移り変わっていくことを表しています。

図4(P96)

ビジネスのためのデザイン思考_図4

イノベーションの視点はは、技術中心から人間中心へと変わっていかなければならないという考え方です。デザイン思考とは、これまでの機能的価値の重視ではなく人間的(本質的)価値(コトの価値)の追求だといいます。認識された価値を最小限の「原材料」で実現すれば低価格で実現できるし、さらに充実させていけば最終的に高価格かもしれないが、本質的価値のまま優れたモノやサービスを提供するためには、デザイン思考が必要だというものです。

図5(P145)

ビジネスのためのデザイン思考_図5

新しいアイデアを生み出すための重要な考え方です。著者は、新しいアイデアは「見える化」し客観的になることで隠れていた事実を明らかにすることで生まれるが、それは同時に差別性のないものに変えていくとこになるといいます。一方iイノベーションは他社の真似できない独自のアイデアを求めるといった差別性の高いものを求めます。やはり、そこにはデザイン思考が不可欠という話です。見える化とはプロトタイプ化することで、そのプロトタイプ化には2つの意味合いがありこの2つを認識することで本当に新しいアイデアが生まれるというものです。

図6(P157)

ビジネスのためのデザイン思考_図6

図を見ると、なんとなくわかる方が多いのではないでしょうか。でも、この流れや構造を意識している人は少ないように思います。これまでの図でも再三出てきた、モノとコト、そして顧客価値の話です。

①顧客との関係性や顧客の経験の「価値」

②サービス(コトとモノ)提供、財産的(カネ)の関係性

③ビジネスやこれらの関係性を支える能力・資産・資源

この3つの相互作用から顧客価値が生み出されます。そして、その顧客価値を実現するために、顧客価値の提供の仕組みを考え能力や資産などの関係性をデザインし、財務的仕組みを構築していくのだと言います。

まとめ

最後まで見ていただきありがとうございます。いかがだったでしょうか。この6つの図をみているだけで、デザイン思考とはどういったものかが分かるような気がしますね。でも本書にある図はもっとありますし、図で表現されていない部分はもっとあり、今回の紹介箇所はほんの一部でしかありません。この6つの図だけでも気になり、もっとデザイン思考について知りたいと思われた方は是非手にとっていただければと思います。

 

タイトルとURLをコピーしました