このサイトを訪れていただいた方は様々な立場におられると思いますが、仕事において部下を持ったり、後輩ができたり、先に知り得た内容を他の人に説明するといったことで、誰かに「教える」ということは必ずあると思います。これまで、様々なシーンで「教える」ことをしていて「この部下は覚えが悪い」とか「あいつはの能力がない」と言って相手のせいにしていませんか?もしかすると教える側のあなたに「教える技術」が足りなかっただけかもしれません。是非、本書を読んでいただき、自身の「教える技術」について見直す機会にしていただければと思います。また、本書の解説部分の章題と節ごとの項目を記載したマインドマップを作成しております。記事の最後にファイルのダウンロードリンクも付けてありますので、自身の内容の整理にお役立てください。
Prologue
では、早速本書の解説に入っていきましょう。まず、「教える技術」を身につける前に、理解しておかなければならないことは自分ができることと、相手に教えることは別ということです。名プレイヤーが名マネージャー・名監督でないように、どんなに自分に技術力や知識があってもそれを人に教えることは別であり、人を教えるための技術をに身につけないといけません。教える技術を身につけるために、本書は「行動」に着目し、「いつ・誰が・どこで」やっても同じ結果が得られるよう解説されています。
Story0
アパレル販売店員としてトップの成績を収めたことがあり、今は売上最下位の宇留川店の店長を務める神吉凛が物語の主人公です。神吉凛が店長になったことで売り上げが上がるのではないかと期待され配属されたにも関わらず、状況は変わらずむしろマイナスになっている、スタッフの指導もうまく出来ていないのではとの指摘をエリアマネージャーの糸数さんから受けます。そんな中、毎朝のランニングで出会う男性からスタッフがうまく動いてくれないのは凛自身が「教え方」を知らないからだと言われます。
Chapter1
「教える」とはいったいどういうことを言うのでしょうか?「教える」とは相手から「望ましい行動」を引き出す行為を言います。例えば、会議室の場所を教えるとは、相手が会議室の場所にたどり着けることです。プリンターの使い方を教えるとは、相手がプリンターを使いこなせるようになることです。相手が会議室にたどり着けなかったり、プリンターが使いこなせる状態になっていないのであれば、それは教えたとは言えないということです。この「望ましい行動」への導き方は2パターンあります。相手が「望ましい行動」を知らない場合と相手が「誤った行動」をしている場合です。相手が、「望ましい行動」を知らない場合は、「望ましい行動」をできるようにしなければなりませんし、相手が「誤った行動」をしている場合は。「望ましい行動」へ変えていくことをしなけければなりません。また、教える内容が「知識」なのか「技術」なのかに分け、「知識」であれば、聞けば答えられるようになればいいわけですし、「技術」であれば、やれるようになってもらわなければなりません。では、最初のアプローチですが、相手の「知っていること」「出来ること」を把握することです。相手の「知らないこと」「出来ないこと」が教える対象となるわけです。これにはチェックリストを使うのが良いと書かれています。また、相手の立ち位置も知っておく必要があります。仕事をしている意味です。仕事に対する価値観です。相手が「望ましい行動」をしてくれるようになるためには相手が「給料アップを望んでいる」のか「将来のための人脈作り」なのか、「残業せず、早く帰りたい」のかによって、相手への「望ましい行動」への導き方が変わってきます。
Story1
さあ、朝のランニングで出会った男性(師匠)のレクチャーの始まりです。師匠は、「教える」ということがどういうことか、そして教える内容には「知識」と「技術」とがあること。そしてチェックリストの活用の仕方などを教えてくれます。早速凛は、中途採用でスタッフの中では実力のある乙葉君にターゲットを絞ります。中途社員指導のポイント「知っていること/知らないこと」「できること/できないこと」を割りだす。やらなくていいことの劣後順位を決め指示する。相談相手として意見を求める。といった3つのことを実践していきます。
Chapter2
教えたら必ず確認しましょう。確認とは相手から「わかった」という返事をもらうことではありません。むしろこの「わかりました」はあてにしてはいけません。相手も教わっているという引け目がそう言わせていたり、その場では分かったつもりになっていることもあります。教える内容を「知識」と「技術」に分けるという話がChapter1で出てきましたが、「知識」あれば聞いてみて答えられればいいわけですし、「技術」であればやらせてみて出来ればわかったということになります。ここでは、復唱やレポートを書かせる、その内容の成功パターンや失敗パターンを考えさせるいった方法が紹介されています。また、指示は具体的でなくてはなりません。「接客は丁寧に!」と言われても、人によって丁寧さやイメージする行動は違います。「お客様が来られたらまず、大きな声で『いらっしゃいませ』と言うように」ですとか、「品物を渡す時は、両手を添えて渡すように」と言われれば、分かり易いですよね。そして、指示は多くても3つまでとして下さい。それ以上は限界があり、どれもがおろそかになってしまいます。
Story2
次は、外国人アルバイトのアル君です。アル君は、「わかった」と口では言いますが、実際は分かっておらず、言われたとおりにできないアルバイトでした。アル君に限らず、何かを指示され「わかったの?」と聞かれると「わかりました」と答えていることに凛自身も気づいたようです。さて、師匠はこの指示されたことを本人が本当に理解しているかを確認する方法を教えてくれます。また、指示があいまいにならないよう具体的な行動を示すこと、時にはビジュアル化するといったことを教えてくれました。アル君も凛の具体的な指示によってお客様から人気のある店員になってきたようです。
Chapter3
「教える」ということがどういうことかを知り、相手に教え、伝わったことが分かれば、次にやることは相手をサポートすることです。もし、教えた内容が高度でできるようになるまでに時間や労力を要するものである場合は行動を細分化したり、容易なものから取り組んでもらい、成功体験を積ませてあげることがその人の成長につながります。「出来る」と自分で自覚できることも必要ですが、できたことに対して褒めてあげるということも1つの成功体験となりますので、しっかり見守り、褒めてあげてください。時には、叱ることもしなければならないと思います。しかしあくまでも叱るのは行動に対してです。人格や性格を叱るようなことがあってはなりません。
Story3
新人アルバイトの小森さんはどうでしょう。小森さんは、素材の説明がうまく出来なくて悩んでいたようです。そこで凛はまず商品の勉強はおいて、小森さんの得意な商品の多々見直しや、陳列を指示します。これは、まず、相手にたくさんの成功体験をしてもらい次にステップアップしてもらうという思惑があったからです。そう人は「ほめる」というごほうびをもらうことでその行動を繰り返すことが出来るということでした。
Chapter4
最後は、「望ましい行動」を継続させていくための方法です。本書の中では、メジャーメントという言葉が使われています。つまり、行動を数値化するというものです。この数値化には2つのメリットがあり、1つはどれだけ「望ましい行動」が行われたかを回数で確認することでChapter3であげた褒める、評価するということがしやすくなります。もう1つは、教えた行動が、本当に「望ましい行動」であったかを判断できるというものです。教えた行動をしている回数は多いのに、それに結果が伴っていないのであれば、間違った行動を教えたともいえます。そうならないためにも、数値化は必要なのです。また、多くの人ができていないこととして、サポートを止め、独り立ちさせるということです。1人でできるようになるためには、なんでもフォローし援助するのではなく、一人でさせることも必要です。
Story4
お店も順調に動きだしましたが、次に師匠は「行動」を続けること、強化していくためにメジャーメントすること、つまり数値化することが必要だと教えてくれました。凛は数値化することで、より明確な指示、そして評価ができるようになり、さらにお店がうまくいっているようです。そんな中、凛がランニング中に交通事故にあいます。すぐに退院して仕事に復帰したい凛ですが師匠はここで「プロンプト」と「フェイディング」という言葉を教えてくれます。「プロンプト」とは行動が起きやすいように補助すること、そして「フェイディング」とはその補助を外すことだと。そして今の凛のお店のスタッフには「フェイディング」のいい機会だと言います。これまでの凛の指導もあり、凛がいないなかで宇留川店は地区ナンバーワンの売上をあげることができました。
Story5
すっかり体も良くなりランニングを再開して凛ですが、あれから師匠に会うことがなくなってしまいました。地区マネージャーの糸数さんとの飲みの席で師匠は敏腕コンサルタントであったかことが分かります。そして、凛は師匠の「教える技術」を身につけてどんな人を育てるのも悩むjことはないと思えるのでした。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。いかがだったでしょうか。私は本書を読んで、これまで私は教えるのではなく、ただ伝えていただけだったんだな~なんて思いました。また、教えるということをここまで考えたこともなかったとつくづく思いました。教える技術は、このまんがの物語のように、1つのチームつくりともいえると思いませんか。自分の知り得た知識や技術を周りの人に伝え、同じように出来るようになってもらえることで自分は次の新しい仕事を始めることができます。また、急な出来事で人がやめたり異動になっても慌てることなく対処ができます。まずは、自分の持っている「知識」や「技術」を教えることが始まりですが、この「教える技術」そのものを教えることができることが出来ればいいな~と思いました。もし、興味を持っていただけましたら是非本書を手に取ってみてください。また、最初にも書きましたが本書の解説部分の章題と節ごとの項目を記載したマインドマップを作成しております。こちらをダウンロードしていただき、内容の整理にお役立てください。
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